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防災イベントで、石井食品の常温保存できるミートボールを使ってパスタを作る親子。試食後、「すごくおいしい」「簡単だったからまた作りたい」と話した=2025年8月27日、東京都江東区、野村杏実撮影

 9月1日は「防災の日」。自然災害に対し、どんな備えをしていますか? 最近では、災害のために非常食を備えるだけでなく、普段食べている物をもしもの時にも活用し、安心につなげる。そんな考え方が広がっています。

常温「ミートボール」、殺菌方法の工夫で1年保存可能に

 ミートボールが主力商品の石井食品(千葉県船橋市)は、常温で保存できる「いつでもミートボール」を昨年発売した。従来品は冷蔵で保存期間は1カ月ほどだが、この商品は常温で約1年保存できる。

 常温品は自衛隊からの要望を受け、2016年に開発に着手した。当初、白黒のパッケージで販売していたが昨年、初代ミートボールの発売から50周年に合わせて、一般向け商品としても販売を開始した。

 冷蔵品と常温品では、原材料は同じ。卵・乳成分を使わない点も共通している。異なるのは、殺菌方法だ。冷蔵品は加熱殺菌なのに対し、常温品はレトルト殺菌(高圧釜で高温加熱)にし、長期保存できるようにしたという。

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石井食品の常温保存できるミートボールとチキンハンバーグ=2025年8月27日、東京都江東区、野村杏実撮影

 つくだ煮の製造販売から始まった同社は、長年培ってきた長期保存技術を生かし、非常食も手がける。

 ただ、16年の熊本地震の際、現地に入った社員が、被災者から「『非常食』という言葉を聞きたくない」という声を聞いた。以来、同社では「災害時、一口含んだら日常に戻れるように。非常食という概念を取っ払いたい」との思いで、商品開発に取り組んできたという。

 また、消費者の生活様式も変…

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